高血圧症、脂質異常症(高LDL、TG血症)、糖尿病、高尿酸血症、喫煙、肥満といった生活習慣病。合併症の有無、採血、頚動脈を用い内膜中膜複合体の厚さ(コレステロール堆積の指標)、両上下肢動脈を用いたABI、CAVIといった検査を行い動脈硬化による血管病(脳梗塞、心筋梗塞、腎臓病)の観点より評価治療を致します。
年齢と共に、病名、お薬の量が多くなります。世界中で認められた(エビデンスのある)お薬を中心に用い、安定した患者様に対しては2種類のお薬で1粒となっている合剤を積極的に用い錠数削減に努め、エビデンスのある薬剤の中で薬価の少ないものを選択し患者様の負担軽減を目指しております。
高血圧症
2014年春に5年に一度の改定があった、日本高血圧学会ガイドラインに準じて血圧管理を行っております。今回の改定で、75歳以上の血圧管理に関しては150/90mmHg未満まで可とされましたが、同年齢でもガイドライン内では認容性(?)があれば従来の140/90mmHg未満がより予後はよいとされています。独歩で通院可能な方は基本的に、ここでいう認容性ありと考えしっかりと降圧管理を目標としています。
降圧剤内服中でも、目標血圧に至っていない方が多く初診で来院致します。必要なことは降圧剤を飲んでいることではなく、まずは、朝の血圧がご自身の目標血圧になっているかということです。
また、今回のガイドラインでは、2回計測して平均を記載と初めて回数が示されましたが、従来道理、ご自身で計測したものすべてを記載し提示をお願いします。
血圧は1日10万回変化します。外気温、寝不足、精神的ストレス、身体的ストレス(感冒、間接痛など)、塩分摂取、薬の飲み忘れ、アルコール、二次性(内分泌疾患)高血圧、等でさまざまで変化します。血圧上昇の原因を見極めその人にあった管理の継続を心がけております。
高コレステロール(LDL)血症
最近は原因の半分は遺伝的体質、半分は食事と考えています。痩せていて食事量も少なく、当院で配布しているコレステロール食品番付表にある食物の摂取も少ない場合で、ご両親も高い場合は体質的な脂質異常と考えます。近親者に動脈硬化性疾患(脳梗塞、腎臓病)を認める家族歴を有したり、胸部症状など心臓病を否定できない症状のある方は積極的に内服を進め加療しております。
こちらも、基本的には日本脂質学会のガイドラインに準じ診察しております。悪玉コレステロールは高くてもよい、善玉が高いから悪玉が高くてもよいなどのフレーズを昨今耳にしますが、日本で一番大道のガイドラインで治療を進めます。個人的裏付けとしては高LDL血症の患者様の虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞で冠動脈バイパス手術が必要な方)が非常に多かった印象があるからです。
スタチンを用いた治療で、ほとんどの患者様のLDLコレステロールは簡単に低下します。副作用のチェック、漫然と高用量の内服をさけ、最小内服量で目標値を目指し治療しております。
糖尿病
ここ数年、内服治療薬の進歩で、インスリン導入をしなくてもよい患者様が増えています。また、今年の4月に販売開始された新薬でより一般開業医で加療の枠が広がった感が強くあります。体重コントロールと内服薬を用い、時にはインスリン導入で近隣病院と連携し診察を進めております。現在、心臓疾患を疑う糖尿病患者様の加療を多く受け持っております。
以上の生活習慣病をもつ、患者様に対し、動脈硬化を年1回測定、心エコー、ホルター心電図を用いた心臓疾患の同定をしつつ月1回の診察を通し経過観察しております。
睡眠時無呼吸症候群
いびき、特に無呼吸後の猛烈ないびき、昼間の強い眠気、熟睡感がない、起床時の頭痛などの症状を訴え、睡眠中に頻発する呼吸停止(無呼吸)を特徴とする疾患が睡眠時無呼吸症候群(SAS)ですが、そのほとんどは気道が閉塞する閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS:obstructive sleep apnea syndrome)です。この閉塞型睡眠時無呼吸症候群の問題点は、家族にとっては「いびき」のために安眠を妨げられることだけとも思われがちですが、実は本人にとっては大きな問題が3つあります。
- 無呼吸が繰り返し起こるためにたびたび脳が目覚め、熟睡ができない結果として昼間に著しい眠気に襲われます。
- 繰り返される無呼吸の時に、動脈血中の酸素が不足する(低酸素血症)とともに、二酸化炭素がたまって血液が酸性に傾くことから、不整脈、心筋梗塞、脳梗塞などを起こしやすくなります。
- 夜間に脳が目覚めることが繰り返えされるため、交感神経の緊張状態が続いて自律神経が乱れることにより、内分泌系にも影響を及ぼし、低酸素血症のストレスも加わり、高血圧症や糖尿病、動脈硬化症などの合併症を発症するといわれていることです。
SASを完全に治す治療法はいまだありません。しかし一般的な内科的治療法としては、減量、歯科装具療法、経鼻的持続陽圧呼吸(n-CPAP)療法などがあります。(日本医大呼吸ケアクリニック/村田朗医師による)
当院では睡眠時無呼吸簡易検査を行っております。一晩小さな機械をご自宅に持ち帰り、検査していただきます。翌日来院した際に解析し、その場で結果説明と今後の治療方針を決定致します。気になる方はぜひご相談下さい。
禁煙外来~経口禁煙補助薬 チャンピックスによる禁煙外来を行っています~
チャンピックスにより65.4%の喫煙者が禁煙治療に成功しています。
チャンピックスの薬理作用は簡単に言うと2つあります。
- ニコチンが結合するニコチン受容体にチャンピックスがついてしまい、喫煙による満足感が減ってしまう。
→タバコを吸っても美味しくない。
- タバコを吸ったときにでる、ドーパミンという物質を少量放出することにより、禁煙の離脱症状やタバコへの切望感を和らげる。
→禁煙のイライラが減る。
- <投与方法>
- 1週目:禁煙開始日の1週間前よりチャンピックスを内服開始します。
1日目~3日目 チャンピックス0.5mg 1日1回
4日目~7日目 チャンピックス0.5mg 1日2回、朝夕食後
2週目:8日目に禁煙を開始します。
チャンピックス1mg 1日2回、朝夕食後
12週目までこれを継続して内服します。
禁煙に成功した場合、禁煙を確実にするため、24週目まで延長することができます。
副作用は以下の通りです。
- <副作用>
- 主な副作用は、吐き気12.7%、頭痛8.2%、便秘7.1%、上腹部痛、下痢などの消化器症状が多く見られました。
吐き気は、内服初期に多く、最初に少量づつ開始する理由のひとつです。
対策としては、(1)食後に服用する、(2)吐き気止めを併用することで対応します。頭痛は、通常の頭痛薬を使用して大丈夫です。
また初期の1~2週間に、悪い夢を見ることがあるようです。
しかし、ほとんどの副作用は軽度で、投薬を中止した方は少人数でした。